リーダーとメンバーのスタイルがぶつかるときには、
リーダーがスタイルをコントロールすることで
効果的な働きかけができる。
自分のスタイルを場面に合わせて、
意図的にコントロールするのが「多芸性」である。
多芸性とは、他者を認識して、それに基づいて自分を変えることで、
他者との関係をコントロールする力であると言える。
アメリカに心理学者ダニエル・ゴールマン氏は、
6つのリーダーシップスタイルと企業の業績・組織風土の関係を調査し、
多芸性の重要性について述べている。
1.強圧型:即座に服従することを要求する
「自分の言うとおりにしろ」
2.権威主義型:ビジョンに向けて部下を動かす
「自分の後について来い」
3.親和型:調和を生み出して感情的な絆を結ぶ
「人間が第一」
4.民主主義型:参加を奨励して合意を生み出す
「皆の意見はどうか」
5.先導型:高い業績基準を設ける
「さあ、自分のやる通りにしろ」
6.コーチ型:将来に備えて人を開発する
「これを試してみよう」
優れたリーダーは、1つのリーダーシップスタイルに依存するのではなく、
状況に応じて柔軟にスタイルを使い分けているという。
日頃から業務上関係のある他者のスタイルについて関心を払い、
他者の期待する関係の持ち方を理解することが大切である。
また、自分の日常的な働きかけがうまく機能しないときには、
意図的に相手に合った働きかけを取り入れる、
という柔軟な考え方と姿勢を持つことが必要である。
リーダーは、自分が扱える部下のスタイルの数を増やして、
それらを使い分ける多芸性を身につけることが、
多様な他者と建設的な関係を築き、効果的に他者を動かす必須条件である。